
日本を代表する犬、柴犬のキツネ顔の魅力

柴犬は日本原産の犬種として国内外で愛されていますが、その顔立ちには「キツネ顔」と「たぬき顔」という2つのタイプがあることをご存知でしょうか。「うちの子はキツネ顔?それともたぬき顔?」という疑問は、柴犬を愛する多くの飼い主さんが一度は考えたことのある話題です。
キツネ顔柴犬とは、その名の通り、顔立ちがキツネに似ている柴犬のことを指します。日本犬である柴犬は、もともと狩猟犬として活躍してきた歴史があり、キツネのような鋭い顔立ちは、その機敏さや賢さを象徴しているとも言われています。1962年に縄文時代の遺跡である愛媛県の黒岩遺跡から出土された、国内最古の犬の骨格と似た特徴を持つことから「縄文柴」とも呼ばれることもあります。「縄文柴」は額が浅く、体・顔ともに細身の「キツネ顔」をしていて、野性的な気質があります。
キツネ顔柴犬の最大の魅力は、何といってもその野性的でワイルドな風貌にあります。面長で細長い顔がキツネに似ていて、すらりと引き締まったスリムな体と大きな歯を持ち、オオカミに近い特徴があります。この凛々しい姿が多くの愛好家を魅了し、中には世界的なハイブランドのモデルに抜擢された”イケメン”柴犬も登場するほどです。
キツネ顔柴犬とたぬき顔柴犬の違いを徹底解説

キツネ顔とたぬき顔の柴犬は、顔の特徴や体型に明確な違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、あなたの柴犬がどちらのタイプに近いのか、また新しく家族に迎える際の参考にもなるでしょう。
顔の特徴と見分け方
キツネ顔柴犬の特徴は、主に顔の形状と各パーツの配置に現れています。キツネ顔はマズルが長く面長で目と鼻の位置が離れているのが特徴です。一部では「縄文柴風の顔」とも呼ばれることがあります。顔全体がシャープで引き締まっており、知的で凛々しい印象を与えます。
一方、たぬき顔柴犬は、顔が丸く、目や鼻もまん丸で愛嬌のある顔立ちをしています。また、首が太く、筋肉質で骨格がしっかりとしているのも特徴です。また、たぬき顔はマズルが短めで目の位置が低めなのが特徴で「新柴」とも呼ばれています。全体的に丸みがあり、愛らしさが強調されています。
顔のストップとマズルの違い
顔の特徴をより詳しく見ると、ストップ(額から鼻先への凹み)の深さにも明確な違いがあります。キツネ顔の柴犬は「ストップがほとんどないか、あってもごく浅い」特徴があります。一方、たぬき顔は「ストップが明瞭で、適度な長さで丸みを帯びたマズル」を持っています。
体型の違い
顔だけでなく、体型にも違いが見られます。キツネ顔柴犬はすらりと引き締まったスリムな体と大きな歯を持ち、オオカミに近い特徴があります。全体的にスタイリッシュな印象を与えることが多いです。
対して、たぬき顔柴犬はキツネ顔の柴犬に比べると体長が小さく、体重も軽めです。また、首が太く、体格もしっかりとしています。全体的に丸いフォルムをしていて可愛らしい印象です。
歴史的なルーツの違い
この顔の違いには、柴犬の歴史が深く関わっています。顔の違いには柴犬の歴史が大きく関わっています。キツネ顔の柴犬は「縄文時代の祖先犬に近い特徴を持つ」ことから「縄文柴」とも呼ばれ、たぬき顔は「進化の過程で発生した」と考えられています。
興味深いことに、柴犬を保存する団体によっても推奨するタイプが異なります。保存団体によって推奨するタイプが異なり、日本犬保存会では現代的な「たぬき顔」、柴犬保存会では昔ながらの凛々しさがある「キツネ顔」を推奨しているようです。
「キツネ顔柴犬は可愛くない?」という誤解を解く

インターネット上で「柴犬 キツネ顔 可愛くない」という検索が見られることがありますが、これは単純な誤解です。キツネ顔柴犬は「可愛くない」わけではなく、むしろ異なる魅力を持っているのです。
実際、アンケート調査結果によると、柴犬愛好家100人へのアンケート調査によると、キツネ顔が「可愛くない」「どちらかと言うと可愛くない」と答えた方はわずか12人で、その理由も「可愛いというよりキレイおよび美形」「スタイリッシュな顔立ち」「かっこいい系」という肯定的な評価でした。
つまり、キツネ顔柴犬は「可愛くない」というよりも、「かっこいい・凛々しい」と表現されることが多いのです。ペットショップの解説によると「たぬき顔は【可愛い系な顔立ち】、きつね顔は【かっこいい系な顔立ち】と分かれています」と表現されています。
このように、キツネ顔柴犬は「可愛さ」とは異なる「格好良さ」や「凛々しさ」という独自の魅力を持っており、好みに応じて選ぶことができるのです。
子犬期のキツネ顔柴犬と成長による変化

子犬時代のキツネ顔柴犬は、実は見分けるのが難しいという特徴があります。幼い頃はほとんどの柴犬が丸みを帯びた愛らしい顔をしているからです。
子犬期の特徴と見分けにくさ
柴犬の子犬は一般的に4ヶ月頃だと「まだ赤ちゃんな顔つき」をしていますが、その後「大人になっていくにつれてどんどんスラッとしたオオカミの様なカッコいい顔立ちになってきます」と専門家は説明しています。
子犬期の見分けにくさについては、子犬時はどの個体もマズルが短い、体や顔が丸い、目鼻が近づいているように見えるため、成犬時に「キツネ顔」になる柴犬も、子犬の頃は「たぬき顔」に見えてしまうことがあります。
成長過程での変化
成長によって顔つきが変わることも珍しくありません。子犬のときは顔も体も丸みを帯びている「タヌキ顔」の柴犬が、成長とともにマズルの長さも伸びて面長になり、「キツネ顔」に変化することが考えられます。
これは柴犬の成長過程における自然な変化です。柴犬は成長とともに顔つきが変化していくため「子犬のときはタヌキ顔だったのに成長したらキツネ顔になった」というケースもあるそうです。
将来の顔立ちを予測するには
将来どのような顔立ちになるか予測するのは難しいですが、参考になる方法として、好みがはっきりしていて、必ずどちらかのタイプを迎えたいという気持ちが強い場合は、子犬の親犬を見せてもらったり、ブリーダーに自分の好みを伝えて相談してみたりするといいでしょう。
親犬の顔立ちは、子犬の将来の顔立ちを予測する上で最も信頼できる手がかりとなります。しかし、遺伝の影響もあるため、完全に同じになるとは限らないことも覚えておきましょう。
キツネ顔柴犬の性格と特徴

キツネ顔とたぬき顔で性格に違いはあるのでしょうか?実は、顔の形と性格には直接的な関連はないとされています。
顔と性格の関連性
柴犬はタヌキ顔とキツネ顔でそれぞれ外見的特徴が異なりますが、性格に関して基本的なところは変わりません。個体によって、元々フレンドリーな子、より神経質な子など様々ですが、基本的には「柴犬らしい」と言われるような狩猟犬としての気高い一面があります。
実際の飼い主の声からも、見た目と性格にギャップがあることがわかります。実際にキツネ顔の柴犬を飼育していた飼い主の声では「全体に結構シュッとしたクールな印象でしたが、性格は甘えん坊で怖がりな子でした(笑)。そのギャップも可愛かったです」と述べています。
柴犬全般の性格特性
柴犬全体に共通する性格特性としては、「元々猟犬や番犬として活躍してきた犬種なので、勇敢で警戒心が強く、我慢強い性格をしていますが、自立心が強くベタベタされるのを嫌うため、時には頑固に感じられる場合もあります」と専門家は説明しています。
社会化と早期のしつけが、柴犬の性格形成において非常に重要となります。柴犬を飼う際に重要なのは、「子犬のころから、きちんとしたしつけをする必要があります」という点です。特に「主人以外の人間にはあまりなつかない傾向のある柴犬ですが」、「子犬のころからいろんな人や他の犬に慣れさせておくことで、ひとなつっこい、社交性のある柴犬に育てることができます」
たぬき顔とキツネ顔、人気はどっち?

キツネ顔とたぬき顔、どちらが人気なのでしょうか?それぞれのタイプに愛好家がいて、好みが分かれるところです。
キツネ顔派の意見
キツネ顔を好む理由としては、「柴犬らしい賢そうな顔つき」「これぞ和犬って感じです」「キリッとした目が日本犬らしくカッコいいと思います」という声が寄せられています。
キツネ顔の柴犬は、和犬らしい凛々しさや日本犬本来の風格を感じさせるという評価が多く見られます。
たぬき顔派の意見
一方、たぬき顔を好む理由としては、「優しそうな顔で可愛い。たぬき顔の柴犬の少し情けない顔が好きなので」「ハンサム君や美人さんより愛嬌のある可愛いタイプが好きです」「お顔の輪郭が丸い方が柔らかい雰囲気が出るからです」という意見があります。
たぬき顔の柴犬は、愛嬌があり親しみやすい雰囲気が魅力とされています。
現在の人気傾向
現在のSNSなどでの人気傾向としては、「SNSで世界中から高い人気を集める柴犬も多くはこのタヌキ顔のタイプです。思わず癒やされるまんまる顔や丸いフォルムも人気の理由の一つかもしれません」という状況があります。
しかし、どちらが優れているということはなく、あくまで好みの問題です。「古きよき柴犬の野性的な魅力を残すキツネ顔、愛嬌たっぷり・現代っ子のタヌキ顔。どちらも魅力的で、柴犬ならではの素朴さがたまりませんよね」という声もあります。
FAQ:キツネ顔柴犬についてよくある質問

- Q子犬の頃にキツネ顔かたぬき顔かを判断することはできますか?
- A
子犬の頃はほとんどの柴犬が丸みを帯びた顔をしているため、将来的にキツネ顔になるかたぬき顔になるかを確実に判断することは難しいです。子犬時はどの個体もマズルが短い、体や顔が丸い、目鼻が近づいているように見えるため、成犬時に「キツネ顔」になる柴犬も、子犬の頃は「たぬき顔」に見えてしまうことがあります。より確実に判断するためには、親犬の顔立ちを参考にしたり、ブリーダーに相談したりするとよいでしょう。
- Qキツネ顔とたぬき顔では性格に違いがありますか?
- A
顔の形と性格には直接的な関連はないとされています。柴犬はタヌキ顔とキツネ顔でそれぞれ外見的特徴が異なりますが、性格に関して基本的なところは変わりません。個体によって、元々フレンドリーな子、より神経質な子など様々です。性格は個体差や育った環境、しつけの方法などによって形成されるため、顔の形よりもこれらの要素のほうが性格に大きな影響を与えます。
- Qキツネ顔柴犬は「可愛くない」と言われることがありますが、実際はどうですか?
- A
「可愛くない」というより「かっこいい」と評価されることが多いのです。柴犬愛好家へのアンケート調査では、キツネ顔が「可愛くない」と答えた方は少数派で、その理由も「可愛いというよりキレイおよび美形」「スタイリッシュな顔立ち」といった肯定的な評価でした。つまり、キツネ顔柴犬は「可愛さ」ではなく「格好良さ」や「凛々しさ」という異なる魅力を持っているのです。
- Qキツネ顔柴犬とたぬき顔柴犬、どちらが飼いやすいですか?
- A
飼いやすさは顔の形ではなく、個体の性格や飼い主との相性によります。柴犬全般としては「元々猟犬や番犬として活躍してきた犬種なので、勇敢で警戒心が強く、我慢強い性格をしています」が、「子犬のころからいろんな人や他の犬に慣れさせておくことで、ひとなつっこい、社交性のある柴犬に育てることができます」早期からの適切なしつけと社会化が、どちらのタイプでも飼いやすさのカギとなります。
- Qキツネ顔柴犬はどの地域に多いですか?
- A
地域による分布については、いくつかの「地柴」と呼ばれる地域固有の柴犬があります。「山陰柴」はアナグマ猟で活躍した因幡犬がベースとなっており、小さい頭部と引き締まった体形をしているため「キツネ顔」に分類されます。また、柴犬のなかでも「信州柴」がキツネ顔タイプに近いとされています。一方、岐阜県の地犬「美濃柴」はたぬき顔タイプにあたります。
- Q成長とともに顔立ちは変わりますか?
- A
はい、変わることがあります。子犬のときは顔も体も丸みを帯びている「タヌキ顔」の柴犬が、成長とともにマズルの長さも伸びて面長になり、「キツネ顔」に変化することが考えられます。特に生後3ヶ月から1年の間は成長が著しく、顔立ちも大きく変化する時期です。
まとめ:キツネ顔柴犬の魅力と選び方

キツネ顔柴犬は、日本の伝統的な犬種である柴犬の中でも、特に凛々しさと野性味を感じさせる顔立ちを持つタイプです。その特徴は、面長で細長い顔、離れた目と鼻の位置、浅いストップなど、キツネを思わせる整った顔立ちにあります。
歴史的には縄文時代の犬に近い特徴を持つとされ、「縄文柴」とも呼ばれています。特に「信州柴」や「山陰柴」などの地域柴犬にキツネ顔タイプが多く見られます。
キツネ顔柴犬は「可愛くない」と誤解されることもありますが、実際には「かっこいい」「凛々しい」「美形」といった評価が多く、その独特の魅力で多くの愛好家を惹きつけています。一方、たぬき顔柴犬は丸みを帯びた愛らしさが特徴で、どちらが優れているということではなく、好みの問題です。
子犬期には顔の特徴がまだ明確でなく、成長とともに顔立ちが変化することもあります。確実にキツネ顔の柴犬を迎えたい場合は、親犬の顔立ちを確認したり、信頼できるブリーダーに相談したりすることが大切です。
性格面では、顔の形よりも個体差や育った環境、しつけの方法のほうが大きな影響を与えます。柴犬全般に共通する自立心や警戒心の強さを理解し、子犬期からの適切なしつけと社会化を行うことが、どのタイプの柴犬でも飼いやすさのカギとなります。
最終的に、キツネ顔とたぬき顔のどちらを選ぶかは個人の好みによりますが、どちらのタイプも柴犬ならではの魅力にあふれています。大切なのは外見だけでなく、その子の性格や相性を見極め、しっかりとしたしつけを行うことで、家族の一員として末永く幸せに暮らすことです。
あなたはキツネ顔派?それともたぬき顔派?まずは柴犬と触れ合い、自分の好みのタイプを見つけてみてください。どちらを選んでも、日本の誇る犬種である柴犬の素晴らしさを実感することができるでしょう。