かわいらしい見た目とコンパクトなサイズで人気の豆柴。しかし、飼ってから想像以上の大変さに直面し、後悔する飼い主が後を絶ちません。ある統計では柴犬が保健所収容犬種の第1位となっており、安易な飼育が悲劇を生んでいる現実があります。
この記事では、豆柴を飼って後悔した12の理由を徹底解説します。しつけの難しさ、予想外の費用、運動量の多さなど、飼育前に必ず知っておくべき情報をお伝えします。後悔しないための具体的な対策も紹介しますので、これから豆柴を迎える方はぜひ最後までお読みください。
豆柴を飼って後悔する人が急増している現実
近年、豆柴をはじめとする柴犬の飼育放棄が深刻な社会問題となっています。コロナ禍のペットブームで安易に飼い始めた結果、手に負えなくなって保健所に持ち込まれるケースが急増しました。
ある調査によると、保健所に持ち込まれた犬種の第1位が柴犬で、その数は701匹にも上ります。これは全犬種の中で最も多い数字であり、柴犬・豆柴の飼育がいかに難しいかを物語っています。動物愛護管理センターの職員からは「ここ半年で若い柴犬の引き取りが急増している」という証言も出ています。
飼育放棄の主な理由として、しつけの難しさ、噛み癖、運動量の多さ、経済的負担などが挙げられます。特に豆柴は小さくてかわいいという見た目だけで飼い始める人が多く、実際の飼育の大変さとのギャップに苦しむケースが目立ちます。
このグラフからわかるように、柴犬は他の人気犬種を大きく上回る数が保健所に収容されています。ダックスフントやシーズーと比較しても1.5倍以上の差があり、柴犬・豆柴の飼育放棄が特に深刻であることが明らかです。
豆柴を飼って後悔した12の理由
実際に豆柴を飼って後悔した飼い主たちの声をもとに、主な理由を12個にまとめました。どれも事前に知っておけば対策できる内容ですので、しっかり確認しておきましょう。
1. しつけが想像以上に難しい
豆柴は頑固で集中力が低く、しつけに非常に時間がかかる犬種です。柴犬は元々猟犬として活躍していたため、独立心が強く、飼い主の言うことを素直に聞かない傾向があります。
ドッグトレーナーからも「柴犬は初めて犬を飼う人にとっては難易度が高く、しつけも根気がいる犬種」と言われています。何度教えても失敗を繰り返し、トレーニングがうまくいかないことで、飼い主がノイローゼになるケースも報告されています。
2. 子犬の甘噛みが本気噛みに発展
豆柴は子犬の時期から甘噛みが多く、成長とともに本気噛みに発展するケースが非常に多いのが特徴です。穴が開くほどの力で噛みつかれ、飼い主が怪我をすることも珍しくありません。
本気噛みをするようになると、病院での診察やブラッシング、シャンプーなどの日常的なケアが困難になります。他の人や犬を噛んでしまった場合、賠償責任を負うリスクもあります。子犬の頃からしっかりとしつけをしないと、後で大きな問題となります。
3. 運動量が多く毎日の散歩が必須
豆柴は小型犬ではなく中型犬に分類される体格を持ち、猟犬の血を引いているため運動量が非常に多い犬種です。最低でも1日2回、各30分以上の散歩が必要とされています。
雨の日も風の日も、毎日欠かさず散歩に連れて行く必要があります。運動不足になるとストレスが溜まり、破壊行動や吠え、噛みつきなどの問題行動につながります。フローリングを破壊する、家具を噛み壊すといった行動も、運動不足が原因のケースが多いです。
4. 抜け毛が想像以上に多い
豆柴はダブルコートの被毛を持ち、抜け毛が非常に多い犬種です。特に春と秋の換毛期には、ごっそりと毛が抜け落ちます。ブラッシングをいくらしても抜け毛が落ち着かず、部屋中が毛だらけになることも珍しくありません。
換毛期以外の時期でも抜け毛は多く、日常的な掃除の手間が大きな負担となります。アレルギー体質の家族がいる場合は、特に注意が必要です。週1〜2回のブラッシングは必須で、掃除の時間も含めるとかなりの労力が必要になります。
5. 予想以上に大きく成長する可能性
豆柴として購入したのに、成長すると通常の柴犬サイズになってしまうケースが少なくありません。豆柴は正式な犬種として認められておらず、ジャパンケネルクラブの血統書には「柴犬」と記載されます。
本来の豆柴の体重は4〜6kg程度とされていますが、成犬になると8〜10kgまで成長することもあります。小型犬として飼えると思っていたのに中型犬サイズになり、マンションの飼育規定に抵触したり、抱っこできなくなったりする問題が発生します。
6. 警戒心が強く攻撃的になることも
豆柴は警戒心が非常に強く、外部の人や他の犬に対して攻撃的になる傾向があります。飼い主や家族には忠実ですが、それ以外の人には懐かず、威嚇や吠え、噛みつきなどの行動に出ることがあります。
特にオスは縄張り意識が強く、攻撃性が高い傾向にあります。社会化が不十分だと、散歩中に他の犬や人に吠えかかったり、来客に威嚇したりするなど、日常生活に支障をきたします。
7. 神経質で感情の変化が激しい
豆柴は神経質で感情の変化が激しいという特徴があります。おとなしいと思っていても、突然興奮したり、些細なことでストレスを感じたりします。環境の変化に弱く、ストレスから体調を崩すこともあります。
また、独立心が強い一方で甘えん坊な面もあり、飼い主との関係性が崩れると問題行動が増加します。繊細な性格のため、飼い主側も神経を使う場面が多くなります。
8. 子犬の時期が想像以上にやんちゃ
豆柴の子犬は暴れん坊でやんちゃです。家の中を駆け回り、床にあるものを片っ端から噛んで確かめたり、人を噛んで煽ったりと、やりたい放題の状態が続きます。
好奇心旺盛で大胆な行動をするため、壁紙を剥がしたり、家具を破壊したりすることも日常茶飯事です。中型犬のパワーがあるため、飼い主が制御できないと危険な存在になる可能性もあります。
9. 遺伝的な疾患リスクが高い
豆柴は人気の高さから無理な繁殖が行われており、遺伝的な疾患を抱えやすい傾向があります。特に膝蓋骨脱臼、皮膚病(アトピー、アレルギー)、心臓疾患、関節トラブルなどが多く報告されています。
ある調査では、柴犬全体の約20%以上が遺伝性疾患を抱えているとされています。治療費が高額になるケースも多く、経済的な負担が大きくなります。信頼できるブリーダーから迎えることが重要ですが、それでもリスクをゼロにすることはできません。
10. トイレのしつけに時間がかかる
トイレのしつけがなかなかうまくいかないという声も多く聞かれます。犬は猫と違って1回教えても失敗することがあり、根気よく教える必要があります。
豆柴は中型犬サイズなので、失敗したときのオシッコの量も多く、布団やソファにされると大変です。トイレを覚えないことが飼育放棄の理由の一つになっているケースも少なくありません。
11. 吠え声が大きくご近所トラブルに
豆柴は警戒心が強いため、来客や外の音に反応して吠えることが多い犬種です。マンションやアパートでは吠え声が問題になりやすく、ご近所トラブルに発展するケースもあります。
無駄吠えを防ぐためには、子犬の頃からの社会化トレーニングが必須です。しつけが不十分だと、毎日のように吠え続け、飼い主自身もストレスを感じることになります。
12. 体を触られることを嫌がる
豆柴はクールな性格で体を触られることが得意ではありません。ブラッシングや爪切り、耳掃除などのケアを嫌がり、暴れたり唸ったりすることがあります。
動物病院での診察も困難になることがあり、口輪をつける必要が出てくるケースもあります。日常的なケアができないと、健康管理にも支障をきたします。子犬の頃から体のどこを触っても大丈夫なようにトレーニングすることが重要です。
この横棒グラフは、豆柴を飼って後悔した理由を後悔度の高い順にまとめたものです。しつけの難しさと噛み癖が圧倒的に多く、80%以上の飼い主がこれらの問題で苦しんでいることがわかります。運動量の多さや抜け毛も70%以上と高く、飼育前の想像とのギャップが大きい項目です。
豆柴の飼育にかかる費用が予想以上に高額
豆柴を飼う上で、経済的な負担も大きな後悔の理由となっています。見た目の可愛さだけで衝動買いしてしまい、実際にかかる費用の高さに驚く飼い主が少なくありません。
初期費用は42万円〜52万円が目安
豆柴の購入価格は30万円〜50万円が相場です。通常の柴犬よりも高額で、小さければ小さいほど価格が上がる傾向にあります。胡麻色や黒色などの希少な毛色、メス、有名ブリーダーの血統などの要素でさらに高額になります。
購入費用に加えて、飼育グッズの初期費用として5万円〜10万円程度が必要です。ケージ、トイレ、食器、首輪、リード、ベッド、おもちゃなど、一通り揃えると意外と高額になります。さらに、去勢・避妊手術、ワクチン接種、健康診断などで5万円〜10万円が必要です。
年間維持費は12万円〜25万円
豆柴の年間維持費は12万円〜25万円が相場です。内訳は以下の通りです。
- フード・おやつ代:年間6万円〜8万円
- 医療費(予防接種・健康診断):年間3万円〜5万円
- ペット保険料:年間3万円〜6万円
- 日用品(トイレシーツ、ケア用品):年間2万円〜3万円
- 光熱費(追加分):年間1万円〜2万円
これらに加えて、病気や怪我の治療費が発生すると、さらに数万円〜数十万円かかることもあります。豆柴は遺伝的疾患を抱えやすいため、医療費が想定以上にかさむケースが多いです。
生涯費用は170万円以上
豆柴の平均寿命は10〜12年(通常の柴犬は12〜15年)とされています。生涯でかかる費用は最低でも170万円以上と見積もられます。
計算式:初期費用42万円 + 年間維持費15万円 × 寿命12年 = 222万円
これは最低限の費用であり、病気になれば治療費がさらに上乗せされます。動物には健康保険がないため、大きな手術や入院を伴う病気になれば、数十万円単位で費用がかかることも珍しくありません。
年間維持費の内訳を見ると、フード・おやつ代が最も大きな割合を占め、次いで医療費・保険料となっています。医療関連の費用だけで年間費用の約30%を占めており、健康管理にかかるコストの大きさがわかります。
豆柴を飼って後悔しないための5つの対策
豆柴の飼育は確かに大変ですが、事前の準備と正しい知識があれば、後悔することなく幸せな生活を送ることができます。ここでは、後悔しないための具体的な対策を5つご紹介します。
対策1. 子犬期からの徹底したしつけトレーニング
豆柴のしつけは生後2〜3ヶ月から始めることが最も重要です。この時期は社会化期と呼ばれ、新しいことを吸収しやすい貴重な期間です。
基本的なしつけとして、トイレトレーニング、「待て」「おすわり」「伏せ」などのコマンド、甘噛み防止、散歩時の引っ張り防止などを根気よく教えましょう。豆柴は頑固な性格なので、何度も繰り返し教える必要があります。
自分でのしつけが難しいと感じたら、早めに専門のドッグトレーナーやしつけ教室に相談することをおすすめします。生後6ヶ月までにパピー教室に通うことで、社会性を身につけることができます。褒めて伸ばすポジティブトレーニングが効果的です。
対策2. 毎日の運動時間を確保する
豆柴には1日2回、各30分以上の散歩が必須です。雨の日も風の日も、毎日欠かさず連れて行く覚悟が必要です。運動不足はストレスの原因となり、問題行動につながります。
散歩以外にも、ボール遊び、引っ張りっこ、知育おもちゃなどで頭を使う遊びを取り入れると良いでしょう。体力だけでなく、頭も使わせることで満足度が高まります。ドッグランで他の犬と遊ばせるのも効果的です。
対策3. 抜け毛対策と定期的なケア
豆柴の抜け毛は避けられませんが、週2〜3回のブラッシングで抜け毛の量を減らすことができます。換毛期には毎日のブラッシングが理想です。
スリッカーブラシやファーミネーターなどの専用ブラシを使い、しっかりとアンダーコートまで取り除きましょう。ロボット掃除機や粘着クリーナーを活用して、日常的な掃除の負担を軽減することも大切です。
対策4. 信頼できるブリーダーから迎える
遺伝的疾患のリスクを減らすためには、信頼できるブリーダーから迎えることが最も重要です。親犬の健康状態、血統、飼育環境をしっかり確認しましょう。
安価な個体や、繁殖方法が不明なペットショップからの購入は避けるべきです。見学を断るブリーダーや、質問に答えてくれないブリーダーも要注意です。日本社会福祉愛犬協会(KC)などの血統書を持つ個体を選ぶと安心です。
対策5. 経済的な余裕を持つ
豆柴の飼育には生涯で170万円以上の費用がかかります。突発的な医療費にも対応できるよう、ペット保険への加入や貯蓄を検討しましょう。
ペット保険は年間3万円〜6万円程度かかりますが、高額な治療費に備えることができます。保険に加入しない場合は、毎月5,000円〜1万円程度を医療費用として積み立てておくことをおすすめします。
このフローチャートは、豆柴飼育成功への道筋を示しています。飼育前の準備から始まり、各段階で適切な対策を取ることで、最終的に幸せな豆柴ライフにたどり着けます。特に子犬期のしつけが最も重要で、この時期の努力が成犬期の生活の質を大きく左右します。
豆柴に向いている人・向いていない人
豆柴の特性を理解した上で、どんな人が豆柴の飼育に向いているのか、向いていないのかを整理しましょう。
| 豆柴に向いている人 | 豆柴に向いていない人 |
|---|---|
| 毎日2回以上、各30分の散歩時間を確保できる | 仕事が忙しく、散歩の時間が取れない |
| 根気強くしつけに取り組める | すぐに結果が出ないとイライラする |
| 犬の飼育経験がある、または学ぶ意欲が高い | 初めて犬を飼い、準備不足のまま迎える |
| 抜け毛の掃除やブラッシングを苦にしない | 綺麗好きで毛が少しでも落ちるのが嫌 |
| 生涯で200万円程度の費用を負担できる | 経済的な余裕がなく、医療費が不安 |
| 独立心の強い犬の性格を理解している | べったり甘えてくれる犬を期待している |
| 一戸建てまたはペット可の広い物件に住んでいる | 狭い1Kや、ペット不可の物件に住んでいる |
| 家族全員が飼育に協力的 | 家族の反対を押し切って飼おうとしている |
| 15年以上の長期飼育を覚悟している | 数年後の生活変化(転勤・結婚等)が不透明 |
この表からわかるように、時間的・経済的・精神的な余裕が豆柴飼育の成功には不可欠です。特に、毎日の散歩時間を確保できるか、根気強くしつけに取り組めるかが重要なポイントとなります。
もし向いていない項目が複数当てはまる場合は、今は豆柴を迎えるタイミングではないかもしれません。生活環境が整ってから迎えることで、後悔のない飼育ができます。
それでも豆柴と暮らす幸せは格別
ここまで豆柴の大変さを中心にお伝えしてきましたが、適切な準備と覚悟を持って迎えれば、豆柴との生活は何物にも代えがたい幸せをもたらしてくれます。
実際に豆柴と3年間暮らしている飼い主からは「大変なこともたくさんあるけれど、それ以上に豆柴がいてくれてよかったと思うことの方が何倍も大きい」という声が聞かれます。しつけに苦労した時期を乗り越えた後は、かけがえのないパートナーとなります。
豆柴は飼い主に忠実で、信頼関係を築けば生涯のパートナーとなってくれます。凛々しい表情、愛くるしい仕草、時折見せる甘えん坊な一面など、豆柴ならではの魅力がたくさんあります。困難を乗り越えた分だけ、絆は深くなります。
まとめ:豆柴を迎える前に必ず知っておくべきこと
豆柴を飼って後悔する人が増えている背景には、見た目の可愛さだけで安易に迎えてしまうケースが多いことがあります。しつけの難しさ、運動量の多さ、抜け毛、経済的負担など、事前に知っておくべき現実がたくさんあります。
しかし、これらの課題を理解し、適切な準備と覚悟を持って迎えれば、豆柴は最高のパートナーとなってくれます。毎日の散歩時間の確保、子犬期からの徹底したしつけ、経済的な余裕、信頼できるブリーダー選びなど、成功のポイントを押さえることが重要です。
豆柴を迎えるということは、15年以上にわたる責任を負うということです。安易な気持ちではなく、しっかりと準備を整えた上で、幸せな豆柴ライフをスタートさせてください。
よくある質問(FAQ)
- Q豆柴は初心者でも飼えますか?
- A
豆柴は初心者には難易度が高い犬種です。頑固で独立心が強く、しつけに時間がかかります。ドッグトレーナーからも「初めて犬を飼う人には少し難しい」と言われています。ただし、根気よく学ぶ意欲があり、しつけ教室に通うなどのサポートを受けられれば、初心者でも飼育は可能です。毎日の散歩時間を確保でき、経済的な余裕があることも重要な条件です。
- Q豆柴として購入したのに大きくなることはありますか?
- A
はい、よくあります。豆柴は正式な犬種として認められておらず、成長すると通常の柴犬サイズになるケースが少なくありません。本来の豆柴は体重4〜6kg程度ですが、8〜10kgまで成長することもあります。これを防ぐためには、信頼できるブリーダーから迎え、親犬のサイズを確認することが重要です。ただし、親犬が小さくても100%保証されるわけではありません。大きくなる可能性も考慮して飼育を決断しましょう。
- Q豆柴の抜け毛対策はどうすればいいですか?
- A
豆柴はダブルコートで抜け毛が非常に多い犬種です。週2〜3回のブラッシングが基本で、換毛期(春と秋)には毎日のブラッシングが理想です。スリッカーブラシやファーミネーターなどの専用ブラシを使い、アンダーコートまでしっかり取り除きましょう。ロボット掃除機やコードレス掃除機を活用すると日常的な掃除が楽になります。完全に抜け毛をなくすことはできないため、抜け毛を受け入れられる覚悟が必要です。
- Q豆柴の生涯費用はどれくらいかかりますか?
- A
豆柴の生涯費用は最低でも170万円以上かかります。内訳は、初期費用(購入費30〜50万円+飼育グッズ5〜10万円+医療費5〜10万円)と年間維持費12〜25万円×寿命10〜12年です。病気になれば治療費がさらに上乗せされます。突発的な医療費に備えて、ペット保険への加入(年間3〜6万円)または毎月5,000円〜1万円の積立をおすすめします。経済的な余裕がない状態での飼育は避けるべきです。

