家の壁にぴたりと張り付く小さな姿が愛らしいニホンヤモリ。「家守」として親しまれてきた彼らを飼育してみたいけれど、何を食べさせればいいのか迷っていませんか。
この記事では、ニホンヤモリの餌選びから与え方、食べない時の対処法まで、初心者の方でも安心して飼育できる情報を網羅的に解説します。バナナや家にあるもので代用できるのか、100均で揃えられるものは何か、といった疑問にもお答えします。

ニホンヤモリの基本的な食性を理解しよう
ニホンヤモリは完全な肉食性の爬虫類です。野生では夜間に活動し、街灯に集まる蛾やハエ、クモ、ワラジムシなどの小型昆虫を捕食して生きています。
体長は成体で約10〜14センチほど。小さな体ながら平均寿命は10年前後と長く、適切な飼育環境では10年以上生きる個体もいます。指には肉眼では見えないほど細かい毛が無数についており、この趾下薄板という器官で壁やガラスに張り付くことができます。
夜行性で臆病な性格のため、昼間は隠れ家でじっとしていることがほとんど。飼育下でも静かで落ち着いた環境を好みます。
野生下での食事スタイル
野生のニホンヤモリは、動くものに反応して捕食する本能を持っています。彼らは自分の体のサイズに合った獲物を選び、季節によって食べる虫の種類も変化させています。夏は飛翔昆虫、秋は甲虫類、春は小さなバッタといった具合です。
このように野生では環境が用意してくれる多様な餌でバランスを取っているのに対し、飼育下では飼い主が与える餌だけが頼り。だからこそ適切な餌選びと栄養バランスの管理が重要になってくるわけです。
ニホンヤモリはバナナを食べるの?【真実を解説】
「ニホンヤモリ 餌 バナナ」と検索する方が多いのですが、結論から言うとニホンヤモリはバナナをほとんど食べません。
ニホンヤモリは肉食性のため、バナナなどの果物を消化する体の仕組みを持っていないんです。水分補給のために果物や昆虫ゼリーを舐めることはあっても、栄養源としてバナナを摂取することはできません。
バナナを食べるヤモリの種類もいる
ただし、外国産のヤモリには果物を食べる雑食性の種類も存在します。代表的なのがクレステッドゲッコーやヒルヤモリです。
クレステッドゲッコーは昆虫のほかにバナナやマンゴーなどの果物を食べるため、余った果物をおやつとして与えることができます。ヒルヤモリもバナナなどをペースト状にして与えることが可能ですが、与えすぎると肥満になるため注意が必要です。
これらの雑食性ヤモリでも、バナナだけを主食にするのはNG。必ず昆虫成分の餌も併用する必要があります。
上のグラフを見ると分かるように、ニホンヤモリは昆虫がほぼ全てで、果物はごくわずか(水分補給程度)。一方、クレステッドゲッコーやヒルヤモリは果物の割合が高めですが、それでも昆虫が主体なんですね。
家にあるもので餌は代用できる?【結論:基本NG】
「わざわざペットショップに行かなくても、家にあるもので何とかならないかな」と考える気持ちは分かります。でも残念ながら、家庭にある食材での代用は基本的にNGです。
なぜ家にあるもので代用できないのか
パンやご飯、果物などを口にすることがあっても、ニホンヤモリの体はそれを消化できる仕組みになっていません。無理に与えると消化不良を起こし、体調を崩す原因になります。
また「庭で捕まえた虫をあげてみよう」という考えもおすすめできません。農薬や寄生虫を持っている可能性があり、かえって危険だからです。体の小さいニホンヤモリにとって、ほんのわずかな毒素でも命に関わることがあります。
緊急時に試せる代用品(あくまで一時的)
どうしても専用の餌が手に入らない緊急時には、以下のようなものを一時的な代用として試すことができます。ただしあくまで補助的な餌として考えるべきで、長期的な使用は避けてください。
- 生の鶏肉:小さく切って動きをつけると食べる個体も。ただし塩分や添加物に注意
- 昆虫ゼリー:水分補給程度。栄養が不完全なので主食にはならない
- かつおぶし:高タンパクだが塩分が多く、長期使用は腎臓に負担
これらはあくまで緊急避難的な選択肢。できるだけ早くペット用に管理された餌用昆虫や人工フードを用意しましょう。
ニホンヤモリにおすすめの餌【種類別に解説】
ニホンヤモリの飼育では、生餌、冷凍餌、人工餌の3タイプから選ぶことになります。それぞれの特徴を理解して、飼育環境や個体の好みに合わせて選びましょう。
生餌(最も食いつきが良い)
動いているため嗜好性が非常に高く、最も食いつきが良いのが生餌です。特に飼い始めの導入期や拒食対策として強力な選択肢になります。
コオロギ(ヨーロッパイエコオロギ・フタホシコオロギ)
ニホンヤモリ飼育者のほとんどがコオロギを主食として与えています。ヨーロッパイエコオロギは体長約2センチで小型、フタホシコオロギは2.5〜3センチとやや大きめ。ヤモリの成長段階に合わせて使い分けると良いでしょう。
栄養バランスが良好で、ペットショップや爬虫類専門店で入手しやすいのがメリット。ただし管理が面倒で、逃げ出すと部屋で繁殖してしまうリスクもあります。コオロギを与える際は、ジャンプして脱走しないよう後脚の2本をちぎってから餌入れに入れるのがコツです。
ミルワーム
ゴミムシダマシという虫の幼虫で、栄養価が高く保存が楽なのが特徴。冷蔵庫での保存も可能です。ただし脂肪分が多いため、おやつ程度に留めておくのが無難。主食としてはコオロギの方が優れています。
デュビア・レッドローチ
ゴキブリの一種ですが、動きが遅く管理しやすいのが利点。栄養バランスも良好です。見た目に抵抗がある方もいるかもしれませんが、飼育用に繁殖された清潔な個体なので安心して使えます。
人工餌(扱いやすさNo.1)
開封してすぐ使えるため準備が早く、汚れも少ないのが人工餌の大きな利点です。水を加えて練るタイプであれば、粒の大きさや硬さを自由に調整できるので、幼体から成体まで対応可能。
レオパドライ・ヤモリバイトなどの専用フード
昆虫粉末を主原料とした高タンパク設計で、ヤモリの嗜好性と消化性の両方を考慮して作られています。昆虫原料の割合が高く(製品によっては95%)、匂いで食欲を引き出す点が特徴。
ただし慣れるまで少し時間がかかることも。最初は濃い匂いの状態で与え、徐々に薄めていくのがコツです。生餌の汁を少し混ぜて「生き物の匂い」を再現するのも効果的な方法です。
冷凍餌(中間的な選択肢)
冷凍コオロギなどは生餌の管理が苦手な方に便利ですが、動かないため食いつきは生餌に劣ります。ピンセットで動きをつけると食べる個体もいますが、野生から捕獲した個体では難しい場合が多いです。
上のレーダーチャートを見ると、生餌は食いつきと栄養バランスで優れていますが、扱いやすさでは人工餌に軍配が上がります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った餌を選びましょう。個体によっては併用するのもおすすめです。
餌の適切な量と頻度【成長段階別ガイド】
ニホンヤモリの餌やりは、成長段階によって頻度と量を調整する必要があります。肥満は寿命を縮める原因になるため、適正な体型を保つことが大切です。
幼体(ベビー)の場合
成長期にしっかり食べさせて体づくりをすることが重要。毎日1回、食べられるだけ与えるのが基本です。餌のサイズは頭部の4分の1以下が目安。ピンヘッドサイズ(孵化直後)のイエコオロギなど、小さめの餌を用意しましょう。
カルシウム不足になりやすいため、ダスティング(昆虫にカルシウムパウダーをまぶす方法)を必ず実施してください。
成体(アダルト)の場合
3〜4日に1回が目安です。1回の量はコオロギなら2〜3匹程度。餌のサイズは頭部の3分の1から半分程度が適切です。
食欲旺盛な個体だと食べるだけ与えていると太ってしまうため、腹部の状態を観察しながら調整しましょう。腹部がぱんぱんになっていたら与えすぎ、逆に痩せて凹んでいたら餌不足のサインです。
季節による調整も必要
変温動物のニホンヤモリは、気温が低い冬場は代謝が下がり食欲も減退します。冬は給餌頻度を少し減らし、4〜5日に1回程度にしても問題ありません。逆に夏場の活動期は食欲が旺盛になるため、様子を見ながら調整してください。
上のグラフは成長段階別の給餌頻度の目安を示しています。幼体は毎日、成体になるにつれて間隔を開けていくイメージですね。ただし個体差があるため、あくまで目安として参考にしてください。
ニホンヤモリが餌を食べない理由と対処法
ニホンヤモリを飼育していると、突然餌を食べなくなることがあります。健康な成体であれば1週間程度の絶食は問題ないとされていますが、原因を理解して適切に対処することが大切です。
原因1:ストレス(最も一般的)
野生から飼育下に移行したばかりのヤモリは、新しい環境に適応するのに時間がかかります。慣れない場所、見知らぬ飼い主、狭いケージなどがストレス要因となり、食欲を減退させます。
対処法:そっとしておいてあげて、あまり構わずに静かに休ませましょう。基本的に捕獲されたばかりだと最長で1週間ほど食べない個体もいます。ケージの近くでは動作もゆっくり動くようにし、上から覗き込むのは避けてください(天敵の猛禽類を連想させるため)。
原因2:環境要因(温度・湿度)
ニホンヤモリの適正温度は20〜25℃、湿度は60〜70%。これを外れると体調を崩し、餌を食べなくなることがあります。
対処法:温度計・湿度計を設置して常にチェック。温度が低すぎる場合はパネルヒーターを底面の3分の1程度に設置し、ヤモリが自分で温度調節できるようにします。湿度が低い場合は霧吹きの回数を増やしましょう。
原因3:餌のサイズ・種類が合わない
餌が大きすぎると喉詰まりの危険があるため食べません。逆に小さすぎると餌と気づかず見向きもしない場合があります。また、毎回同じ生餌だと飽きて食べなくなることも。
対処法:餌のサイズは目と目の間の長さを目安に選びましょう。小さめから始めて、楽々飲み込むようであればサイズアップ。種類を変えてみる(コオロギ→デュビア、人工餌→生餌など)のも効果的です。
原因4:脱皮前後・産卵前後
脱皮前は古い皮膚が剥がれ落ちる準備期間で食欲が低下し、脱皮直後は新しい皮膚が敏感なためしばらく餌を食べない傾向があります。メスの場合、産卵前後も一時的に食欲が減退します。
対処法:これは自然なサイクルなので、無理に食べさせる必要はありません。数日待てば元に戻ることがほとんどです。
原因5:コオロギに攻撃された経験
意外かもしれませんが、コオロギは雑食性でタンパク質を求めてヤモリをかじることがあります。これが原因でコオロギ嫌いになる個体も。
対処法:餌入れに入れて与えるか、ケージ内に放す場合は1時間程度で取り除きましょう。コオロギの後脚をちぎってから入れるのも有効です。
原因6:病気の可能性
寄生虫感染、細菌感染、ウイルス感染などが食欲低下を引き起こすことがあります。長期間(2週間以上)食べない場合や、明らかに痩せてきた場合は病気を疑いましょう。
対処法:爬虫類専門の獣医師に相談してください。自己判断での対処は危険です。
昆虫ゼリーはヤモリの餌になる?
「昆虫ゼリー」で検索される方も多いですが、結論から言うと昆虫ゼリーだけではヤモリに必要な栄養を完全には提供できません。
昆虫ゼリーは手軽で保存が容易なため、忙しい飼い主にとって便利な選択肢。しかし補助的な餌として考えるべきで、主食にはなりません。ニホンヤモリは肉食性のため、昆虫ゼリーは最適とは言えないんです。
ただし水分補給として舐めることはあるため、全く無駄というわけではありません。虫餌と併用する形で、たまに与える程度なら問題ないでしょう。植物食を好むクレステッドゲッコーなどには専用のゼリーも良いですが、ニホンヤモリには向いていないと覚えておいてください。
100均で揃えられる飼育用品【コスパ重視】
ニホンヤモリの飼育は意外とお金がかかります。そこで活用したいのが100円ショップ。餌自体は専門店で購入すべきですが、飼育用品の一部は100均で代用可能です。
100均で買えるもの
- プラケース:小型のものなら100均で十分。通気性に注意
- 霧吹き:湿度管理に必須。100均のもので問題なし
- 餌入れ:プリンやゼリーの容器で代用可能
- 水入れ:小さめの浅い容器なら何でもOK
- シェルター代わり:トイレットペーパーの芯や段ボールを加工
- 温湿度計:精度は劣るが参考程度に使える
専門店で買うべきもの
- 生き餌・人工餌:これは100均では手に入りません
- パネルヒーター:温度管理は命に関わるため専用品を
- カルシウムパウダー:栄養補助として必須
- 床材(専用の砂など):キッチンペーパーで代用する人も多い
100均を上手に活用すれば、初期費用を大幅に抑えられます。ただし命に関わる部分(温度管理、餌)はケチらないのが鉄則です。
ニホンヤモリ飼育の基本セットアップ
餌の話ばかりしてきましたが、ヤモリが餌を食べるかどうかは飼育環境に大きく左右されます。ここで基本的なセットアップを確認しておきましょう。
必要な設備リスト
- 飼育ケージ:プラケース推奨(20cm程度で1匹飼育可能)
- 床材:砂系がおすすめ(脱皮残し防止)、キッチンペーパーでも可
- シェルター:隠れ家として必須。市販のウェットシェルターがベスト
- 餌入れ・水入れ:逃げにくい構造のものを選ぶ
- パネルヒーター:底面の3分の1程度に設置
- 霧吹き:朝晩の湿度管理用
- 温湿度計:環境チェックに必須
日々のメンテナンス
毎日:霧吹き(朝晩)、水の交換、食べ残しの確認
週1回:床材の部分交換(砂の場合は汚れた部分のみ)
月1回:ケージ全体の清掃、床材の全交換
ニホンヤモリは脱走名人なので、体が通れる程度の小さな穴も必ず塞ぎましょう。上から蓋を開けるタイプのケージは天敵を連想させてストレスになるため、扉式など開閉が静かで簡単なものがおすすめです。
まとめ:ニホンヤモリの餌選びで大切なこと
ニホンヤモリの飼育で最も重要なのは、適切な餌選びと環境づくり。バナナや家にあるもので代用しようとせず、生き餌か専用の人工餌を用意することが健康な飼育の第一歩です。
成長段階に合わせて給餌頻度を調整し、肥満にならないよう体型を観察しましょう。もし餌を食べなくなったら、ストレス軽減と環境改善を優先してください。
100均を上手に活用すればコストも抑えられます。ニホンヤモリとの10年以上にわたる暮らしを楽しむために、この記事の情報を役立てていただければ嬉しいです。
FAQ(よくある質問)
- Qニホンヤモリは1日何回餌を食べますか?
- A
成体の場合、3〜4日に1回が目安です。幼体は毎日1回与えてください。ニホンヤモリは変温動物のため代謝が遅く、頻繁に餌を与える必要はありません。肥満は寿命を縮めるため、腹部の状態を観察しながら適切な量を与えることが大切です。
- Qニホンヤモリが急に餌を食べなくなりました。何が原因ですか?
- A
最も多いのはストレスです。環境の変化、温度湿度の不適、脱皮前後、餌のサイズ不適などが考えられます。健康な成体なら1週間程度の絶食は問題ありませんが、2週間以上食べない場合や明らかに痩せてきた場合は、爬虫類専門の獣医師に相談してください。
- Qニホンヤモリに人工餌だけで飼育できますか?
- A
個体によっては可能ですが、かなり難しいです。ニホンヤモリは動くものに反応して捕食する本能が強いため、特に野生個体は人工餌を食べないことがほとんど。人工餌に慣れさせるには、まず生き餌で飼育環境に慣れさせてから、徐々にピンセットで人工餌を与える練習をしていく必要があります。
- Qニホンヤモリの餌用コオロギはどこで買えますか?
- A
爬虫類専門店、大型ペットショップ、ホームセンターのペットコーナーで購入できます。またネット通販でも生きた状態で発送してくれる業者が多数あります。初心者の方はヨーロッパイエコオロギのSサイズから始めるのがおすすめです。自家繁殖させれば常に新鮮な餌が手に入りますが、管理の手間がかかります。
